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あとになってから 彼女のことを知っているか訊けば良かったと思ったけれど 今更それを知って何になるだろう もう死んでしまった彼女のこと 生きていたらどうしていただろう 果たせなかった約束と 受けられなかった着信 夢のなかで彼女はやさしかった この世にいないことを思い出し泣き出したわたしの手を取り 困ったような顔をして もう行かなきゃ でも泣かないでよと言いながら 透明になっていったのだ

 

主義思想やある場所を守るために戦ったことがない 彼女はなぜあの寮に暮らし続けたのか 書籍を読んだところでやっぱりよくわからないのだ どうしてそこで無ければならなかったのか その先にどんな世界を描いていたのかも