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足に合う靴を探すのは実に骨が折れることだし それを見つけるというのはとても幸運なことだ 見た目は気に入らないけれど履いても痛くならないとか 色も形も素敵だし踵の高さも理想的だけど歩くたび顔が引き攣るとか そこまで極端なことではないにせよ 大抵どちらか妥協することになる
お陰で何年か前に買ったエナメルの靴は 手入れをしていたにも関わらずひび割れて 貼り替えた踵は何枚目かわからないくらい とてもよく歩いた 悲しくなるほどくたびれた靴をいい加減手放そうと考えて 似たようなものを実はもう買ってあり 決して悪くはないのだけど それでもまだ捨てる決心がつかない 今日はまた別の店で新しい靴を試してみたものの なんとなくしっくりこなくて 考えさせてほしいと断りぼろぼろの靴を履くと さっきまで試着して痛かったところが やっぱり痛いことに気づいてしまった まだ当分履き続けることになるだろう