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まるで記憶喪失になったような気分だった 使わない時計は止まるし 磨かない鏡は曇る 本棚には埃が厚く溜まり 黄ばんだページを捲れば銀色のちいさな虫が走り出す しかし肝心なことが出てこない そのようにわたしは質問に答えられなかった 読まない詩をどれくらいで忘れてしまうのか 考えたことはなかったけれど 相反する矛盾だけが沈み込んでいる海で どれほど強い嵐が来ようとも わたしは溺れることも 打ち上げられることも許されてはいなかったのだ