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若くして南方で死んだ画家の絵を見に行った 彼がまだ幼かったときに描いた野草は 生き生きとしており 既にその才覚を表していた 本土でそれなりに絵を描いては売って 食っていけただろうに 甘んじなかったのは 芸術家としての意地があったからだろう そういう人が創り出すものだけが尊いとは思わないけれど 彼の描く南国の景色は たしかに蒸し暑さと熟れた果実の芳香を彷彿させたし やたらと派手な鳥は今にも奇妙な声で歌いだしそうだった