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器狂い というには まだまだ及ばないし 烏滸がましさを感じるけれど 食器棚に収まりきらないほど蒐集している時点で どうかしているのだ

子供の頃 まさか自分が百貨店の食器売り場で腕組みして悩むことになろうとは思わなかった いや わずか数年前ですら 逢瀬の途中で立ち寄った陶器店に少しばかり退屈さを感じたというのに 今ではどうだろう 文房具店と同様に立ち寄る場所になってしまった

もちろん毎回購入することはない 外商担当がいるわけでなし 気に入ったのがなければ 無理には買わない ただ見たときにアッと思うもの 我が家の古い木の卓に似合うもの そしてわたしが作る料理を盛り付けたところが目に浮かぶもの その何れかふたつの条件は譲れない もちろんお財布と相談はするけれど まぁいつか買うなら今にしましょうと つい財布の紐を緩めてしまうのである

先日買った波蘭製の長方形の平皿は藍色の地に白い花が描かれている 正確にいうと 四角いスタンプを花のかたちに彫ってあるので 花の部分が陶器の地の色なのである やはり藍色をした別の花模様の平皿と悩んだが 手持ちの食器との組み合わせ そして店員女子の「最後の一枚です」につられてしまった

しかし幾ら胸がときめくから 値打ちだからと 何処かで制限をかけないといけないので 最近はデザインと生産国が同じものにすることにした とはいえ絶対ではない 緩い約束であるが そうでもしないと 新作が出るたび買っていては追いつかないのだ

 

さて買ったばかりの平皿だが さっそく目敏い家人がアレッという顔をしたので 前からあったと言い張っていたが 紙袋から新作案内の冊子と取扱説明書が落ちてきたので また呆れられてしまったが 想像したとおり我が家の食卓にとても似合っていた 食後 片付けずに絵を描きながら もしいつか欠けてしまっても 筆記用具を載せるのにも素敵だなと思った