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この電車に乗ったまま 何も考えずに時が過ぎるのを待てば やがて終点に着く 終点であり始発駅であるT駅のちかくで Nは働いている 一緒に働いていた時から 何をしているのかわからなかったけれど 今も何をしているのか知らない

たぶん わたしは彼を忘れてゆくだろう そして 彼もわたしを忘れるだろう 終点の駅はあまりにも遠い

そうしてわたしは村から出て行かない 何処でもない場所 もう地図上に存在しない村から