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昨日 ナツが家に来た 「ごめん 遅くに」そう言った彼女の姿は もう日が暮れて薄暗くなり ほとんど闇に溶け込んでいたかのようだった

門扉を挟んで「祝祭 出来なかった」小声で謝ると ナツは「仕方ないよ こんな時だもの」と応えた 泣いてはいないようだったけれど 明らかに力を落とした声だった やけに夜風が涼しい 「またね」と彼女は言って いつものようにコンバーチブルのエンジンをかけて去って行った