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誰かの愛人に会った わたしの旧い友人であり 昔の恋人であり 血の繋がらない兄弟であり 知人の夫であり 知らない女の愛人でもある男だ わたしたちは同じ年 同じ月の同じ日に生まれた  彼は朝の7時に生まれ わたしは夜の7時に生まれたから 少しだけお兄さんのように思うが もっとも彼が生まれたのはサマータイムのパリだったから ほぼ同じころに生を亨けたことになる しかしそんなことはどうでもいい 大切な彼が 今や誰かの愛人になり その待遇に非常に満足していることが さっぱり理解出来ない けれども 知らない女は厚化粧のふしだらな中年ではなく 少し膨よかな 品のいいマダムだった そして その隣で彼は かつて若鷲のように逞しく 精悍な表情を見せていた彼は いまや若い燕そのものたった 笑え 歌えよ 人生の歓びを わたしはすべてを軽蔑する 永遠の愛を 祝福された運命を 軽蔑する もう他になにもすることがない