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水曜日 愛人に会う日 水は流れる 怒りも悲しみも飲み込んで 泥と混ざって濁流になる 愛なんてこれっぽっちも無いくせに 虚構の女を抱いているのよ あなたは 最後に泣いたのはいつだったか覚えている? わたしはこないだ戦争経験者の話を新聞を読んで泣いたわよ 殺処分された動物のニュースも 美しかった街に砂埃が舞い 戦車と機関銃の音ばかり響くようになってしまったことも辛かった あなたもきっと泣くと思う

でもそれって同じ世界のことなのに 何処か自分とは違う世界の話のようで わたしが死んでも あなたはきっと 泣かない