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一度も泳ぎに行かなかった夏を弔うことも出来ない 陽射しだけがやけに強く 海は穏やかに広がり その道すがら こうべを垂れた向日葵の葬列 花火すらしなかった こどものころよく遊んだ花火 藁の先に黒い火薬がついた線香花火が 一番のお気に入りだったけれど 今ではどこに売っているのか知らない(わたしが通っていた駄菓子屋は店主の死後 更地になってしまった)