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あの日のことは 実はあまりよく覚えていない たぶんニュースは夜に流れていて わたしはもう寝る支度を済ませていた 会社から帰ってきた父に 母が大きな声で知らせていた まだスマホがなかったときのことだ

翌月に兄が短期留学に参加することになっていたけれど危険だということで中止になった 世の中で起きた大変な事件のさざ波が 小さな田舎町にまで押し寄せてきたように感じた(さざ波でもひとは死ぬことがある)

月日が流れ それからもう大人になって わたしはどう変わったのだろう