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去っていったひとのことを みんな直ぐに忘れて行ってしまう わたしが愛するのは もういないひとだけだというのに

西の山では 去年山で死んだ男を弔うため 追悼の意を込めて人々が頂上まで登ったという 物静かで実直な 岩のような大きな男だったが 病魔には抗えなかった
東の国へ帰った女は 以前から求愛されていた領主の息子から強引なやり方で嫁ぐことが決まり もうニルゲンドヴォへは来られなくなってしまった ただ 強引ではあったものの 思いのほか優しかったので 幸せではあるらしい 暖かくなれば新しい家族と遊びに来ると花籠と手紙が届いたので 楽しみに待つことにする