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こんな夢を見た

 

商業施設の中にある大広間に集められていた 扉が開き 外を見ると 軍服を着た男女が商店街を闊歩している 学生時代の友人がいたので手を振ると 驚きつつも笑顔を見せ 手を振りかえす代わりに両手に抱えていた優勝杯を掲げ揺さぶって見せてくれた

いよいよ私たちが列に加わる順番が来たので ぞろぞろと歩き出すと 覇気が足りないという理由でやり直しになった 元より集団行動が嫌いなので 余計に嫌になり 次に出発したとき こっそりと列を抜けた 友人と昼ごはんを食べに行こうとしたのだ

雨が降っていたので 紺色の折りたたみ傘をさして 横断歩道を渡り 半地下にある洋風食堂へ行こうと外の階段を降りたところで 店が閉まっていることに気づき 振り返ると友人も消えていた 濡れた傘を振ると雨の雫が飛び散る そして私は昼ごはんを食べに来たはずなのに空腹を感じていないこと 先程から何度か食事の機会があったのに逸していたことに気づき ふと顔をあげると食堂の従業員らしき若い女が 階段の入り口に鎖をかけようとしているのが見えて 慌てて階段を上がると やけに驚いた顔でこちらを見たので 意を決して話しかけた

「私 もしかしてもう死んでますか」

若い女は申し訳なさそうな顔をして

「はい 完全に絶たれています」

と答えた

 

無意識のうちに下ろした左腕をぎゅっと 右手で押さえた そうだ 私は左の上腕を真っ直ぐ縦に切り裂いて でもそこから前も後も憶えていない なぜ自死を選んだのか思い出せない 不意にショパンの『別れの曲』が鳴り出した 下校の時間だ こどもたちはもう帰らなければならない ああ そんなことより この世界にある美しいものにもう一切触れることが出来ないなんて! 遠くに友人の夫が独りで歩いている 彼は誰それに殺されたのだと教えられたので 彼と一緒に復讐に行かなくてはと言うと「このままでいいんですか」と言われた