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こんな夢を見た(聞いた話2/2)

 

仕方ないので 次で降りようと荷物をまとめていると ことの外すぐに停車した 田舎では駅間がやたら長いものなのに珍しい 田園風景のなかにある停車場は木造で 自動改札機も当然なかったが 駅係員は3人もいたので 間違って違う所へ来たと事情を説明することにした

すると係員の若い女は こともなげに 間違いですね ええ 大丈夫ですよ こちらで処理しますからと何やら証明書を発行すると言い 奥へと入ったいった 故里の言葉ではなかった 別の駅係員の男にここはどこなのか 故里の○○を目指していたが 途中で路線が変わってしまった 同郷の知人もいたが あの人たちは間違えて乗っているのではないのかと聞くと 停車場の名前をそのまま答え 彼らは間違っていない と言った

 

 

さて 夢の話はここで終わっている 本人曰く「鼾で目が覚めた」そうだ よく聞く話では 今際の際にある人は 自分の意思で動かない乗り物に乗っており 降りたくとも降りられず不本意なところへ向かうとか 川べりを歩いていたとか話す (祖父の場合は馬車だった 目覚めてから行き先変更出来なかったと嘆いた彼は 数日後に死んだ)恐らく彼の場合はまだその時ではなかったと考えられるし 他者から 米=生きる糧 を与えられた ということは 食うに困らぬという有り難い予感さえある

 

但し この文章は全て創作である