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久々に出先でラーメン屋へ行った 昼時の人気店とくれば当然混んでいるから 持ち時間が20分強しかない状態で行くのは賭けのようなものだったが 料理の性質と客層から回転率を見越して 食券を買い 炎天下ではあるが店の前に並ぶことにした 予想通り5分ほどで呼ばれたので 席についてまずは水を一口 ラーメンが運ばれてくるのをしばし待つ

全席カウンター席なので 眼の前で従業員数名が忙しなく麺を茹でたり スープがなみなみと煮える寸胴に醤油や 脂のようなものを注いだりしている 待つのは好きではないが 料理しているのを見るのは好きなので苦にならない ところで地元の名物が食べたいと思ってきたわりに不勉強なもので ここらのラーメンが醤油ベースだというのも隣の席にいたお嬢さん方が食べていたのを見て初めて知った まだかまだかと壁の時計と調理場を交互に見ながら ついに運ばれてきたラーメンを ふぅふぅ息をかけながら啜り上げる 美味い お腹が空いていたのは事実だが 飾り気のない味わいの奥に何か秘密があるのだろう また一口 もう一口と箸を口に運ぶことを止められない ーこれなら焼豚大盛りして 替玉も頼めば良かったー しかし今日はとかく時間がなかった まだ熱いスープを器から飲み 今度来た時は絶対に定食にして唐揚げも食べようと心に決めて箸を置くまで約5分だった 麺が少なかったのではない 美味しくて止まらなかったのだ 具はメンマと焼豚 そして刻んだ葱 至福の刻 以上650円也

 

今日日はもう女独りでラーメンを食べようが 笑ったり 文句垂れたりする人も少なくなったが 他人の目を気にして食べたいものに躊躇するのは勿体ないことだとひしひしと思う 食べるのは他人ではなく自分だ 誰かと一緒に食べに行ったとしても わたしのラーメンはわたしが食べる ただ彼女が食べきれず泣きそうになったときに 手伝えるのは嬉しいと思ってしまうのだった