1634

サマーキャンプの季節が来て わたしはまたN君のことを思い出す 同い年で 北のほうの出身だったと思う 年に一度 夏に一週間を過ごすだけの友達 会うたびに彼は背が伸びて 少年は青年へと成長していき わたしが最後に参加した時 彼はもう来ていなかった

まだ十代の男の子と女の子 素直に協力し合えるほど結びつけるものはなかったし 衝突することが多かったけれど 他に人がいないときだけ お互い親切になれたのは まだ幼かったからだろう

彼のその後は何も知らない 名前ももう覚えてはいないし 調べる術もない みんなで過ごした夏の家は老朽化で取り壊されて久しい