1989

この国で一番信者が多い宗教を信仰する家庭に産まれた。信仰二世どころではない。漢字にしてたった六文字唱えれば、なんでも大体許されて、特に修行の必要もなく死んだら仏になれるらしい。

高校はカトリックだったので、その頃、割と真面目に改宗を考えていたけど、結局面倒くさくなってやめた。そういうわけで、今も毎日お祈りの為に主の祈りを唱えるけれど、わたしはあくまでも異教徒で、借り物の言葉で祈っている。でも、それが悪いこととは思わない。わたしの神さまはわたしのなかだけにいて、この国ではそれは許されることだから。