2023-10-08 1965 Fiktion 幼い頃から私の描く海のイマージュは、荒々しい波飛沫がたつ日本海の、それも冬の姿だ。群青色の空から吹きつける凍てつく風。そこには、太平洋を見た時に感じる開放感はない。水平線のはるか彼方にタンカーが見え、私はナホトカの港を、訪れたことのない極東の街を想う。